紙加工ダイゲン

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紙の豆知識
2012.11.07

「紙よもやま話」

ご無沙汰しております。「紙よもやま話」語り部の志田です。今回目ですね。
11月3日(日)「第64回正倉院展」にいって参りました。<パンフレット参照>
冗長な文章のためか眠くなる方もおられると聞きます。でも、今回はお許しください。(スキップしたい方は太字のみお読みください) 現在 正倉院に保存されている正倉院宝物は、献納宝物、東大寺の資材、造東大寺司関係品(東大寺造営のために設置された建物でその下におかれた写経所などに関連する品物や造営のときの資材)が伝来しています。その内容は、紙(和紙)という媒体によって書かれた「献物帳」「宝物献納目録」などにより、今に伝えられています。私はこのことが実に重要だといつも感じています。奉納された宝物が何であるか「紙」という媒体にしっかり記録されていることが世界に類を見ないとのことです。千年以上の歴史に耐えて伝えられているのですから。また、これらの文化財の保護に携わってきた先達の方々や現在なお、保護に尽力されている方々に心から敬意を表したいと思います。今回の展示品は、紙に関する出展は少なかったのですが、正倉院の文書類など紙の「宝庫」だと思います。また、今回、公開された文書の中に、明らかに反故紙といわれる現在でいう再生紙的な使い方していることを目の当たりにこの目で確認することができ、本当に感激しました。今回は公開されませんでしたが、正倉院(中倉)に所蔵されている「天平人があこがれた極上の紙」を4点紹介いたします。以下(正倉院美術館 ザ・ベストコレクション:講談社2009年より)
<天平人があこがれた極上の紙>4点
・ 絵紙 正倉院(中倉)所蔵
・ 材質・・・麻紙
技法・・・表はうす茶色 裏は白色
サイズ・・・55cmx100cm
特徴:  刷毛で細かい線まで巧みに描きわけ、麒麟、鳳凰、燕などの動物文や飛雲を描く。
・色麻紙 正倉院(中倉)所蔵
・材質・・・麻紙
サイズ・・・28.5Cmx46.5cm
特徴:標準的な大きさの紙で5色を5枚ずつ巻き重ねる。保存状態がよく奈良時代の色彩感覚をうかがい知ることができる。(色麻紙の標準的な配色のひとつ、薄茶・黄・白・はなだ・茶の5色。 
吹絵紙 正倉院(中倉)所蔵
・ 材質・・・楮紙
技法・・・絵の具を霧状に吹き付ける吹絵
サイズ・・・29.5cmx41cm
特徴:吹き付けの際にさまざまな型紙を置いて、白抜きの文様を表現。中央に大き目の文様を置き、そこを中心に左右対称に文様を配する。
緑金箋 正倉院(中倉)所蔵
・ 材質・・緑麻紙
技法・・・片面に金砂子
サイズ・・・25.3cmx15.5cm
特徴: 蓮弁型の色紙で3枚のみ伝わる。当時の名称は伝わっていない。大仏開眼会などで使われていたのではないかと推測されている。 
 今回どこまで、エッセンスを伝えられたかわかりませんが、媒体としての紙の力がいかに大きいか見せつけられる思いがします。紙の業界にいて、力強い元気をもらった気がします。正に「紙は文化のバロメーター」です。量は減少するかもしれないですが不滅です。
 私見ですが、「まんだら」という和紙風の特殊紙があります。古風な味わいのある紙です。
正倉院の紙について、さらに詳しく知りたい人は、次の書物を参照していただけると今回の「紙よもやま話 4話」もより充実したものになるのかなと思います。
<参考文献>正倉院(歴史と宝物):杉本一樹 著 中公新書
      正倉院美術館 ザ・ベスト・コレクション 半田雄介、杉本一樹 共著 講談社(2009年)
       正倉院展60年のあゆみ: 奈良国立博物館 編  思文閣出版(2008年)
第64回正倉院展 パンフレット 
  正倉院美術館 ザ・ベスト・コレクション「天平人が憧れた極上の紙」
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